2012年2月17日金曜日

2月17日

◎今日のテキスト

 富士の頂角、広重の富士は八十五度、文晁《ぶんちょう》の富士も八十四度くらい、けれども、陸軍の実測図によつて東西及南北に断面図を作ってみると、東西縦断は頂角、百二十四度となり、南北は百十七度である。広重、文晁に限らず、たいていの絵の富士は、鋭角である。いただきが、細く、高く、華奢《きゃしゃ》である。北斎にいたっては、その頂角、ほとんど三十度くらい、エッフェル鉄塔のような富士をさえ描いている。けれども、実際の富士は、鈍角も鈍角、のろくさと拡がり、東西、百二十四度、南北は百十七度、決して、秀抜の、すらと高い山ではない。たとえば私が、印度《インド》かどこかの国から、突然、鷲にさらわれ、すとんと日本の沼津あたりの海岸に落されて、ふと、この山を見つけても、そんなに驚嘆しないだろう。ニッポンのフジヤマを、あらかじめ憧れているからこそ、ワンダフルなのであって、そうでなくて、そのような俗な宣伝を、一さい知らず、素朴な、純粋の、うつろな心に、果して、どれだけ訴え得るか、そのことになると、多少、心細い山である。低い。裾のひろがっている割に、低い。あれくらいの裾を持つてゐる山ならば、少くとも、もう一・五倍、高くなければいけない。
 ――太宰治『富嶽百景』より

◎ストレッチ呼吸「肺の背中側をストレッチ」

 胸の前で両腕を抱えるように組んで、胸をできるだけちぢこませる。逆に背中は丸く大きく広げるように意識する。
 そのまま口から息を全部吐きだしていき、最後まで「フッ、フッ」と吐ききる。
 吐ききったら鼻から息をゆっくりと吸いこんでいくが、そのとき背中側に息が入っていくことをイメージし、丸く広げた背中がさらに大きくふくらんでいくようにする。背中全体が呼吸によって風船のようにピンとふくらむようなイメージ。
 息をいっぱいに吸いきったら、口から自然に息を吐き、自然呼吸に戻す。

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