2012年2月14日火曜日

2月14日

◎今日のテキスト

 なめとこ山の熊のことならおもしろい。なめとこ山は大きな山だ。淵沢《ふちざわ》川はなめとこ山から出て来る。なめとこ山は一年のうち大ていの日はつめたい霧か雲かを吸ったり吐いたりしている。まわりもみんな青黒いなまこや海坊主のような山だ。山のなかごろに大きな洞穴《ほらあな》ががらんとあいている。そこから淵沢川がいきなり三百尺ぐらいの滝になってひのきやいたやのしげみの中をごうと落ちて来る。
 中山街道はこのごろは誰《たれ》も歩かないから蕗《ふき》やいたどりがいっぱいに生えたり牛が遁《に》げて登らないように柵《さく》をみちにたてたりしているけれどもそこをがさがさ三里ばかり行くと向うの方で風が山の頂を通っているような音がする。気をつけてそっちを見ると何だかわけのわからない白い細長いものが山をうごいて落ちてけむりを立てているのがわかる。それがなめとこ山の大空滝だ。
 ――宮沢賢治「なめとこ山の熊」より

◎音読の呼吸「満肺まで吸う」

 息を吐ききったあとは、ゆっくりと吸っていく。
 吐くのは口から吐いても鼻から吐いてもいいが、吸うときはできれば鼻から。
 お腹のみぞおちとおへその間のあたり胃があるあたりに、ゴムボールがひとつ入っているイメージで、そこへ鼻から空気を入れてふくらませていく。コツは、いきなり肺全体に息を入れようとせず、お腹の中心部からふくらませていって、最後は肺全体の肩のほうまでいっぱいに空気を入れるイメージ。
 吐いたときに縮こまってしまって姿勢が、息を吸っていくと同時にしだいに立ちあがっていく。最後は身体全体がまっすぐに立つ。
 肺にいっぱいに空気を入れたら、そこでいったん息を止めて、「いち、に、さん」と数える。
 そのあとはまた息を吐いていく。

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